SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)の通貨オプション被害判決(平成23年10月12日)について

判例時報 平成24年2月11日号(2134号)75頁以下に掲載されています。

 
日興コーディアル証券が販売した、通貨オプション取引について、各地で問題になっていますが、大阪では同社を被告として、平成21年1月に、損害賠償請求訴訟を提起し、平成23年10月12日に、投資家勝訴判決が下っています(大阪地方裁判所・平成21年(ワ)第845号。
(末尾から全文が見られます)

 同社の通貨オプション取引は、米ドルや豪ドル等について、コールオプションの「買い」と、プットオプションの「売り」を同時に、かつ「売り」を「買い」の3倍行うことによって、契約当初に200万円などという現金が入り、その後も、為替レートが現在のまま推移すれば半年に1回、大きな利益が出る、などとして勧められたものの、昨今の円高により大きな損失が生じ、また、極めて多額の追加担保の差し入れを要求されたりして、トラブルになったものです。

 オプションは本来、損失限定、利益無限大という性質を有するものですが、この商品は、利益限定、損失無限大のもので、およそ、零細企業等の投資には向かない取引です。

 そもそも、取引の際に交付される説明書(後記参照)にも、冒頭に
「現在の為替相場より低いレートでの外貨調達や、外貨建て債務の為替ヘッジなどを目的とします。」と書いているにもかかわらず、為替取引などとは何の関係も無いような零細企業が被害にあっています。

 裁判では、取引そのものの危険性や複雑な仕組みから、適合性原則違反、説明義務違反等を主張し、また、莫大な追加担保を連日のように請求される点についても、事前に説明がなかったし、いまだに、どのような計算で追加請求額が決まるのか、納得のいく説明がないもので、重大な説明義務違反がある旨、主張し、通貨オプション契約に基づいて支払った金額、差し入れた担保等のすべてを返還するよう、要求しているものです。

 なお、通貨オプションやその裁判、また、為替仕組商品の問題点については、09年10月17日号の週刊ダイヤモンドでも詳しく特集されています。

 判決は、平成23年10月12日に下され、被告は、担保についての説明義務違反があったとして、原告の通貨オプション取引損約3823万円と、追加担保支払のために損失を出して現金化せざるを得なかった投資信託の損失約3808万円の、合計約7631万円につき、過失相殺を7割し、弁護士費用を付けて、2517万5280円と遅延利息の賠償を被告に命じたものです。


   日興コーディアル証券による説明書の例

   日興コーディアル証券による、詳しい説明書(2007年1月のもの)
   

   日興コーディアル証券による、詳しい説明書(2009年1月のもの)
  (07年のものより詳しくなっている。少なくとも本来こうでなければならない)

平成23年10月12日・大阪地裁判決・被告SMBC日興証券(旧日興コーディアル証券)・前半 後半


〔大阪高裁にて、和解で終了〕